8 – 2 号 ( 2024 年 6 月 )

1.ゲーム依存について

三原 聡子
( 久里浜医療センター )

1. 最近の傾向

ゲームやインターネット(以下、ネットとする)のサービスは著しく進化し、依存の様相も変化している。例えば、2011 年、久里浜医療センターネット依存専門治療外来開設当初は、「ネトゲ廃人」と呼ばれるような、パソコンの前から何日間も離れずプレイするゲームに依存している人が多かった。しかし近年は、そのような仕組みのゲームは減り、自らゲームもするものの、多くの時間、プレイ動画を見続けている人や、推しの配信者さんに高額な投げ銭をする人など、依存対象が多様化してきている。また、小学生の受診者が増加するなど依存症者の低年齢化もすすんでいる。今後も様相を変えながら増加してゆくことが見込まれるゲーム・ネット依存関連問題に対し、少しでも多くの心理師を含む支援者が抵抗感を減らし、対応できるように、13 年間の数々の失敗から学んだ支援の際のコツのようなものをお伝えしたいと思う。

2. 関係性を作るコツ

まずゲームやネットに依存している人たちが病院を訪れたくないのは、「ゲームやネットの世界のことを知らない人からゲームなんてやめろと言われたり、取り上げられる」と思っているからであることが多い。また、ただでさえ自己評価が傷ついて現実に向き合えずネットの世界に逃避していることが多い中で、「病院に行くとか、カウンセリングを受けるなど、よっぽどまずいことになっている人というレッテルを貼られているようで嫌だ」といわれることもある。病院に来てもいきなり取り上げられないし、本人が安心して、できれば楽しくこられる場にしていく必要がある。同時に、本人自身のニーズを理解し、来ることが役に立つと思ってもらえるようになることが重要である。

そのためにも、特に思春期の患者さんには「一歩前のめり」になるつもりで積極的な傾聴を心掛けるようになった。そもそも明確なニーズがあってきているわけではないため、「うまく話を引き出してほしい」といわれることも多い。あなたに人として関心をもっていること、話を聞きたいと思っていること、あなたの話はいい意味でとても面白いと思うことを、患者さんに積極的に伝えるようにしている。

また、集団の中に受け入れられることで、自信を取り戻し、再度、現実の人間関係の中に入っていけるようになる方も多い。可能であれば、デイケアやキャンプなど、安全な人間関係の「器」を作ることも、支援者のできることの一つであると思われる。

3. アセスメント

① ゲーム・ネットの使用に関して

まずは患者さんの一日の生活を聞いていくことが多い。何時ごろ起きて、食事は何時くらいに食べるのか、家族とたべているのか一人なのか、量や偏食は、といった具合にその方がどのような日常を送っているか描けるように聞いていく。その中で、ゲームは何時から何時ごろまでやっているのか、どんなゲームをしているのか、仲間とやっているのか、どんな役割を担っているのか、ランキングはどのくらいかなどを訊ねていく。このような情報から、何を求めてゲームをしている方なのか、支援となる資源がえられそうかといった、その方の全体像を理解していく。

② 合併精神障害について

ADHDの傾向のある方がゲームやネットに依存しやすいことはご存じの方も多いだろう。ADHDの傾向がある方は、しばしば落とし物や忘れ物、遅刻などの失敗体験をしていて、自己評価が傷ついていることが多い。数々の失敗の原因が性格ではなく、症状だったとわかってほっとしたというケースも多い。一方で、発達障害に関しては、ネット上などで間違った情報が出まわっており、それらを鵜呑みにして、「障害があるからどうせできない」と投げやりになったり、深く傷ついてしまうこともあるので、注意が必要である。

また、社交不安が強いケースもある。その場合には、入院やデイケアなど集団での治療に誘うことは控えるようにしている。

③ とりまく環境について

両親のどちらかが子供の気持ちに添えない応対をしているなど、家族内に要因があって、ゲームやネットの世界に逃げ込んでいるケースもみられる。また、学校でいじめにあっているケースもある。一方で、実は学校に本人を気にかけてくれている友達がいるということもある。

4.社会資源の活用と多職種連携

回復には、現実社会の中で居場所ややりたいことを見つけることが力になる。長年引きこもってゲームをしていた人が、就労移行支援やグループホームなど様々なサービスを使って社会に出ていくことも多い。その人が現実世界で居場所をみつけることを後押しするために、どのような選択肢があるか把握し、他の職種や機関と連携する視点が大切である。

5.おわりに

支援のためには、ゲームやネットの使用に限らず、その人を包括的にとらえてゆくことが必要である。また、最も大切な支援のポイントは、患者さんと信頼関係を築き、つながり続けることだと思う。そういう意味で、ゲーム・ネット依存の方の支援は、他の依存や、依存以外の心理臨床と何ら変わりないといえる。

2.第 59 回日本アルコール・アディクション医学会度学術総会のご案内

堀江 義則
( 医療法人社団 慶洋会 ケイアイクリニック )

この度、日本アルコール・アディクション医学会と日本アルコール関連問題学会で、2024年度アルコール・薬物依存関連 学会合同学術総会を2024年 9月19日(木)~21日(土)の 3 日間、シェーンバッハ・サボー(東京都千代田区平河町)にて開催させて頂くことになりました。日本アルコール・アディクション医学会としては、第59回の学術総会となります。日本アルコール・アディクション医学会では、第一線で取り組む医療従事者や当事者の多くの経験からの意見と要望に加え、他分野の最先端科学による学術研究をもとに長年依存症治療について討議してきましたが、学際的に各方面に配慮する中でいろいろな意見が交錯し、議論の場から抜け出せずにいたように思います。アルコール依存症患者の飲酒量を低減させる新しい薬剤が上市され、アルコール依存症治療において断酒から飲酒量低減へのパラダイムシフトが起きています。そろそろ多方面からの意見を集約して、新しい方向性を提示する「依存症治療の創造」の時期に来て いると思います。また、物質依存に加えて、ゲームやギャンブルなど特定の行動に対する自制できない程度ののめり込みを含めた、嗜癖(アディクション)が近年大きな社会問題となっています。しかし、実質的な対応は緒についたばかりです。多様化するアディクションに対応していく上で、包括的な研究・教育・治療体制を整備することが必要です。当学会での学術的な交流を通して、アディクション研究を拡充させることで関係機関との連携を強化して、学際的な新たな学術分野である「アディクション学の創成」を提案したいと思います。「依存症治療の創造とアディクション学の創成 ―つなぐ想いと未来(あした)への挑戦―」をテーマに学会の開催内容にも工夫を凝らし、次世代へ諸先輩方の思いをつなぎながらも、時代に応じた 行動・意識変容が体現出来るような学術総会としたいと思います。

従来のシンポジウムやワークショップに加え、日本医師会認定の産業医講習会を開催して産業医の先生の参加を促したり、「若手医師にとってのアルコール性肝障害診療の現状と課題」といった症例検討会を設けて若手医師の参画を募る企画も用意しました。研修医は学生と参加料を同じに据え置きましたので、是非ご施設で研修中の医師に参加を勧めていただきたいと思います。また、特別講演では、慶應義塾大学医学部長の金井隆典先生に医学部学生や研修医への依存症治療の教育についての展望や改革案をお話しいただく予定です。衆議院議員で元財務副大臣の中西健治先生には、酒税を含めて本邦の間接税の在り方、直間比率の在り方についてお話しいただく予定です。明確な回答がいただけるかはわかりませんが、酒税の使い道について目的税化してアルコール依存症の研究や治療の予算を増やせないかといった質問にもお答えいただけることになっています。お二人ともそれぞれ小生の大学と高校の同級生で、遠慮や忖度のない質問も小生の方からも用意しています。是非、特別講演にもご参加いただき、会場からも多数のご質問をいただければ幸いです。このように臨床のみならず社会的な背景も含めて、新しい依存症治療とアディクション学の在り方を、参加者の皆様と共に考える学術総会にしたいと思います。

参加の事前登録も開始しています。事前登録では、各職種とも当日オンサイトの参加費よりも安い参加費の設定となっております。是非事前登録いただき、多くの方々のご参加ください。東京での開催は8年ぶりとなります。会場でお会いできるのを楽しみにしています。

3.第 60 回日本アルコール・アディクション医学会学術総会(2025年)のご案内

上村 公一
( 東京医科歯科大学法医学分野 )

2024年度学術総会が本年10月に開催されますが、その次年度に開催予定の2025年度学術総会について、当番会長としてご案内いたします。第60回日本アルコール・アディクション医学会学術総会は2025年10月23日(木)〜10月25日(土)、学術総合センター(一橋講堂、東京、最寄り駅は地下鉄神保町・竹橋)で開催することになりました。これまでのところ、準備委員会を立ち上げ、また、学術総会開催の業務委託会社も決まりました。これから、開催内容の具体的な検討を行っていきます。ここしばらく、当学会の学術総会は日本アルコール関連問題学会と共催し、アルコール・薬物依存関連学会合同学術総会の一部として開催されてきました。今回は当学会の単独開催となります。合同総会と単独総会はそれぞれ、メリットとデメリットがあると思います。合同総会が続いてきたので、今回は単独総会として、その違いを見極めようという意味があります。

学術総会のテーマはまだ正式には決めていませんが、単独開催であることから、アルコール・アディクション研究の歴史を振り返ることにより、先人の研究成果を再発見し、今後の研究の発展につなげて行きたいと考えています。当学会の研究領域は当初、アルコールや依存性薬物の薬理作用、薬物依存の機序の解明、薬物依存患者の治療や社会的問題の対応が中心でした。しかし、近年、従来からの物質依存だけでなく、ゲームやギャンブルなどの行動嗜癖も社会的に重要な問題となっています。現在、その実態の把握、機序の解明や治療法が求められています。当学会の研究領域はこの方面にも広がりつつあります。

2019年12月から始まった新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延は現在ほぼ収束し、日常の行動制限もなくなり、従来の日常生活や研究活動に戻ることができました。当学会は精神医学、内科学、薬理学、法医学、公衆衛生学、心理学、看護学、精神保健学などさまざまな領域の研究者や治療者から構成されています。学術総会に参加して自分の専門領域以外の研究者の意見を直接聞くことは自分の研究の幅を広げる上で、たいへん有意義だと思います。

是非、皆様の積極的な学術総会へのご参加をお願いします。

4.柳田知司賞を受賞して

神田 秀幸
( 岡山大学学術研究院 医歯薬学域公衆衛生学 )

この度、本学会の歴史と伝統ある柳田知司賞を第13回(2023年)受賞者としていただきまして、身に余る光栄と存じます。ご推薦くださいました東京慈恵会医科大学・宮田久嗣先生、受賞講演の座長をお勤めくださいました名古屋大学・山田清文先生、この他選考に関わられました学会関係者の皆様に感謝申し上げます。栄誉を感じるとともに、身の引き締まる思いがいたします。

私は島根医科大学(現島根大学医学部)を卒業した後、滋賀医科大学大学院にて、上島弘嗣教授(現同名誉教授)、岡村智教准教授(現慶應義塾大学衛生学公衆衛生学教授)のご指導を頂きながら、循環器疾患の予防医学研究に携わりました。この中で、喫煙や飲酒は循環器疾患の発症のリスクになることから、喫煙防止や適量飲酒の保健指導を手がけることが、アディクション医学へのきっかけとなりました。この時に、滋賀県国保加入者における飲酒量と医療費の検討を行ったところ、毎日日本酒換算3合以上を飲酒する一般住民は、その他の住民に比べ、追跡5年以内の医療費が月額2,000円以上多く支出されていることを、本学会雑誌に掲載させて頂きました。当時、一般住民における飲酒状況と医療費を検討した検討は少なく、明確な金額にてエビデンスを示すことができたことは社会に対してインパクトを与えるものとなりました。

大学院修了後は、尾崎米厚先生(現鳥取大学環境予防医学教授)や樋口 進先生(現久里浜医療センター名誉院長)ら薫陶を受けながら、本格的にアディクション医学研究に取り組みました。未成年の喫煙・飲酒全国調査研究班の一員として、中高生の喫煙・飲酒の実態と要因解明に参加させて頂きました。中でも、未成年の自動販売機での購入抑止を目的としたTaspoカードの導入は喫煙するような未成年者にとっては効果をもたないことを横断研究によって、明らかに致しました。同研究班より、米国Johns Hopkin University, Institute for Global Tobacco Controlへの留学の機会を頂き、世界のタバコ対策を学ぶ機会を頂きました。

また、教授に就任した島根大学や岡山大学にて研究室を立ち上げた際、研究に加わってくれた久松隆史准教授、津村秀樹助教(現徳島大学准教授)、福田茉莉助教、絹田皆子助教、一緒に取り組んでくれた大学院生らの皆様のおかげで、社会医学におけるアディクション研究、アディクションの予防医学研究を進めることができています。現在では、青少年を中心に利用人口の急速な拡大がみられるeスポーツも新たなテーマに加え、中高生eスポーツプレイヤーの心身の健康管理にも取り組んでいます。

柳田賞に値する業績として評価されたものは、喫煙・飲酒などこれまでの研究に関する一連の成果です。駆け出しの研究者の頃は未成年者の喫煙に関する疫学研究に取り組んできました。米国留学後より、飲酒の健康問題に本格的に取り組むようになりました。飲酒は、依存症のみならず生活習慣病の予防の観点から国民にとって大きな問題である一方で、社会で寛容にとらえられている部分があります。そして、わが国でカジノ導入の議論の中ではギャンブルについても、健康管理の立場から取り組んでいく必要があります。コロナ禍前より若者の文化として浸透し始めていたeスポーツは、コロナ禍で一層の普及が促進され、それに伴う健康影響についても、社会の健康課題のひとつになっています。いずれの課題も、国民の健康の保持増進の立場から、直面する課題にエビデンスをどう構築していくか、社会と医学医療の間で科学的にいかにして明らかにしていくかなど、予防医学的な研究の視点が求められていることを痛感しています。21世紀はこころの時代とも言われています。アディクションの問題が、これから一層、社会の変化とともに新たな健康課題が顕在化することと予想されます。社会的課題をいち早く察知し、予防的な取り組みが展開できるよう、今後も、アルコール・アディクション医学に公衆衛生学の立場から貢献していきたいと強く思っております。変化していく社会課題と保健医療の関わりについてご理解ご指導を頂きました多くの先生方に感謝の気持ちでいっぱいです。

柳田知司賞は、ニコチン依存研究を緒にした、アディクション医学の分野で最高権威の賞です。受賞者として、身の引き締まる思いです。公衆衛生学の立場から、この分野をけん引していくよう皆様方からの期待が含まれていると理解しております。社会を良い方向に変えていくエビデンスを、世の中に発信していきたいと思います。しかしながら、社会を変えることは私ひとりの力は非力です。当学会の多分野の先生方、会員の皆様のお力をお借りして、多くの人が健康で豊かな社会になりますよう、宜しくお願い致します。

5.優秀論文賞を受賞して

野田 哲朗
( 東布施野田クリニック )

この度は、日本アルコール・アディクション医学会優秀論文賞受賞の栄誉に浴することになり、推挙していただいた先生方には、感謝の言葉もございません。

 この研究の発端は、まぎれもない2020年、世界を震撼させたCOVID-19パンデミックの発災です。中国および欧米では、COVID-19感染者数と死者数が急増し、日本では考えられないロックダウンが行われ街角から人影が消えていました。日本でもあれよあれよという間に感染者が急増し、その年4月に緊急事態宣言の施行。大学は閉鎖となりオンライン授業となって学生は孤立してしまいます。

当時、兵庫教育大学保健管理センター所長・学校教育研究科教授をしていた私の危惧は、ただでさえ良好と言えない学生のメンタルヘルスが、悪化するのではないかということでした。メンヘラという言葉が若者の間で流行っているように、病んでいる学生は少なくありません。保健管理センターで出会う学生のなかには、よくぞここまで生きてくれたと涙を誘うトラウマサバイバーがいます。適応障害、PTSD、統合失調症、発達障害の診断に該当する学生、ゲームにはまって勉学が遂行できなくなる学生がいます。

COVID-19パンデミック終息の兆しが見えない当時、学生のメンタルヘルス状態及び、飲酒、喫煙、ゲーム、ソーシャルネットワーク(SNS)などのアディクション行動をモニターし、学生のメンタルヘルス悪化の予防策を提言しようと考えました。そこで、共同研究者と、第1回緊急事態宣言中の2020年5月、宣言明けの7月、11月、第3次緊急事態宣言中の2021年7月、調査研究をすすめ、現在も継続して行っております。今受賞論文は、2021年7月の調査を論文化したものです。それまで、うつ不安障害スクリーニングテストのK6(Kessler Psychological Distress 6 Items Scale) をメンタルヘルスの指標としていたのですが、今研究では、PTSDスクリーニングテストのIES-R(Impact of Event Scale-Revised)も指標に加えました。私はCOVID-19パンデミック以前に、トラウマサバイバーの学生支援を目的にACEs(Adverse childhood experiences) 研究を行っていたのですが、今研究にはACEsを質問項目に入れることにしました。今更言うまでもありませんが、FelittiらのACEs研究は、1.心理的虐待、2.身体的虐待、3.性的虐待、4.身体的ネグレクト、5.情緒的(心理的)ネグレクト、6.家族の離別、7.家庭内暴力の目撃(DV)、8.家族の物質乱用(アルコール・薬物)、9.家族の精神疾患、10.家族の収監を経験、などの児童思春期の逆境体験は成人してから心身に深刻な影響を及ぼすといった画期的なものです。

対象者は、関西の2大学の大学生・大学院生、男性189名(37.9%)、女性303名(60.7%)、男性でも女性でもないと回答した人7名の合計499名、平均年齢(SD)は26.3歳(11.3歳)でした。K6では、約53%が軽度以上の抑うつ不安を示し、14.0%が重度の抑うつ不安を示しました。IES-Rでは、13.4%がPTSDの疑いとなり、COVID−19パンデミックがトラウマティックストレスになりうることが示唆されました。ACEsの一項目でも該当する男性は、うつ不安レベルが有意に高いことがわかり、幼少期の逆境体験がメンタルヘルスに及ぼす影響が如何に強いかを明らかになりました。近年、飲酒喫煙習慣のある学生が少なく、今研究では問題が見えませんでした。しかし、COVID-19パンデミック後のゲーム時間の増加が、男性の33.3%、女性の21.5%に認められ、女性ではゲーム時間の増加・減少がうつ不安症状と有意な関連が認められました。そのほか、ソーシャルネットワークサービス(SNS)利用時間が、男性の43.3%、女性の51.1%で増加し、男性では増加、女性では減少がうつ不安症状の疑いと有意に関連していました。ゲームやSNS時間の増加が一概にメンタルヘルスを悪化させるとは限らないことから、上手な利用はメンタルヘルスの悪化予防に有効なのかもしれません。 

COVID-19パンデミック下の学生のメンタルヘルスの悪化を防ぐには、PTSD症状、ACEs、ゲーム、SNSなどの嗜癖行動に着目した学生の支援が必要だと言うことです。

怠惰な私は、学会発表さえ腰が重く、いわんや論文執筆をやです。ところが、大学教員には、業績を求められます。少しは書かねばと苦労した論文を投稿しても書査読の先生方に目一杯不備を指摘されたり、時には、再投稿は認めないといった手厳しい結果が返ってきて意気消沈してしまいます。査読論文の執筆そのものがトラウマティックストレスと言えるかもしれません。

幸い、今研究の要旨を2021年の日本アルコール・アディクション医学会で発表したところ、論文執筆の座長推薦があり、査読者1名で審査を行うとのお誘いをいただきました。これは楽勝と論文執筆を行い、投稿させていただいたのですが、甘い話しは転がっていません。査読の先生に懇切丁寧なコメントが多々入り、めまいを覚えることになりました。青色吐息でなんとか書きなおし、再投稿したところ、今回の受賞の誉れに至ることになり、座長推薦していただいた先生、お忙しいところ丁寧に査読していた先生には感謝の気持ちで一杯です。

ところで「優秀論文賞もらったで」と若手研究者に伝えたところ「まだファーストで論文書いてるんだ」と哀れみの目で見られてしまいました。私としては、この受賞を契機にもう少し頑張ってみようかと自らを叱咤激励したところだったのですが。

本当にありがとうございました。

6.優秀演題賞を受賞して

沖田 恭治
( 国立精神・神経医療研究センター病院 精神診療部 )

この度は2023年度日本アルコール・アディクション医学会学術総会において優秀演題賞を賜り、大変光栄に存じます。

今回発表させていただいた、「アルコール使用障害を対象としたアミロイドPET/拡散尖度画像MRI研究」は、研究期間がコロナ禍と重なってしまったことや、当初資金面で困難を抱えていたことが影響し、計画時の想定よりかなり長くかかってしまい、苦労してどうにか研究終了に漕ぎ着けたという経緯もあり、今回こうして優秀演題賞という形でご評価いただいたことに、驚きとともに大きな喜びを感じております。

アルコール関連認知症は昔からある疾患概念ですが、アルコールと認知機能低下の因果関係はコホート研究で示唆され、アルコール使用障害はアルツハイマー型認知症のリスク因子であるとされています。ところが、アルコール性肝障害に伴う肝性脳症、酩酊時に受けた頭部外傷など、多数の潜在的な交絡因子の存在があることから、その生物学的要因について、はっきりとしたコンセンサスは得られていません。基礎研究ではアルコールがアルツハイマー型認知症の原因であるアミロイドβプラーク合成に促進的に作用することが示されていましたが、人を対象とした研究では検証されていませんでした。

そのため、大脳灰白質におけるアルツハイマー型認知症の原因であるアミロイドβプラーク沈着の可能性に着目し、11C-PiBを用いたアミロイドβを評価するPETスキャンを行うことをまず考えました。次にアルコール使用障害における白質変性を示唆するMRI研究が多くあること、一部の研究で 11C-PiB PETスキャンが白質病変の評価に利用できる可能性が示唆されていることから、これまでに研究でアルコール使用障害に応用されたことがなく、白質のintegrityの評価に適した拡散尖度MRIも行うこととしました。地域の施設や他の病院へも働きかけさせていただき、なんとか患者群24名と健常群26名のご参加を得て研究を完了することができました。

心理検査ではアルコール使用障害における認知機能低下が示唆されましたが、PETの結果は事前の想定と異なり、アミロイドβが大脳皮質に沈着している被験者はおらず、アルコール使用障害における認知機能低下の原因がAβ沈着ではないことが示唆されました。一方、拡散尖度MRIでは想定通り白質のintegrityを示す平均尖度値が低く、これまでアルコール使用障害に適応されたことのない拡散尖度MRIで白質の構造が損なわれていることを確認することができました。ただ、それだけでなく、11C-PiB PETスキャンと拡散尖度MRIの相関が明らかとなり、11C-PiB PETスキャンが白質integrityの評価にも応用可能な可能性が示唆され、アルコール関連認知症の研究としてのみならず、純粋に基礎的な神経画像研究としてみても有意義な結果が得られたと考えております。

最後になりますが、大会長の神田秀幸先生、共同研究者の病院放射線診療部 佐藤典子先生、木村有喜男先生、重本蓉子先生、同じく当センター精神保健研究所薬物依存研究部 松本俊彦先生をはじめ、関係の諸先生方にこの場を借りて深くお礼を述べさせていただきます.

斉藤 剛
( 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 )

この度は、栄誉あるアルコールアディクション医学会の優秀賞演題賞を受賞させて頂き、大変感謝しております。地道に続けてきた結果が評価を頂けたこともあり、非常に嬉しく思っています。

アルコール使用障害は治療ギャップが大きい疾患であり、その改善は世界的な課題です。我が国においても、アルコール使用障害患者全体の5%しか精神科などの専門医療機関を受診していないと報告されています。言い換えれば、さまざまな診療科をアルコール使用障害患者が受診していることになり、それはプライマリケアの現場でも同じです。

この状況を受けて、2018年の新アルコール・薬物使用障害の診断治療ガイドラインは精神科医だけではなく、プライマリケア医や内科医による初期対応の必要性が明記しています。しかしながら、その効果検証はほとんどされていませんでした。

今回、筑波大学で開設した3施設でのアルコール低減外来を2019年1月から2023年3月までの間の受診者を対象に過去起点コホート研究にて効果検証を行いました。結果は、初診時から1年後も「1週間の飲酒量」、「1ヶ月間の飲酒日数」、「1ヶ月間のHeavy Episodic Drinkingを行った日数」のすべてが統計的にも有意な減少を認めました。これにより、プライマリケア医や内科医によるアルコール低減外来が一定の効果を認めたことを検証することができました。

今回の結果は、プライマリケア医や内科医がアルコール低減外来を設置することや初期治療を行うことで、アルコール使用障害に対する治療ギャップを解決する効果的な戦略になるのではないかと考えております。

今後も一人でも多くのアルコール使用障害患者の回復の一助となれるように、そして一人でも多くのプライマリケア医や内科医がアルコール治療に興味と自信を持っていただけるように実践と実証を積んでいきます。

最後になりましたが、日々ご指導を頂いている吉本准教授、他研究協力を頂いた先生方には、この場を借りて深く感謝いたします。

菅谷 渚
( 労働安全衛生総合研究所 )

この度は2023年度学術総会にて優秀演題賞を賜りましたこと、心より感謝申し上げます。

本総会にて私たちは「1年間の縦断調査によるCOVID-19パンデミック下の飲酒行動の変化とその心理社会的要因の検討」というテーマで発表いたしました。私たちは徳島大学の山本哲也准教授を中心とした研究チームで、COVID-19感染拡大に伴い日本で発令された全ての緊急事態宣言下にて大規模縦断調査を行い、さらに調査開始から2年後のタイミングでも実施いたしました。ちょうど3回目の緊急事態宣言発令時期が初回調査から約1年後であり、AUDITが過去1年間の飲酒状況を尋ねていることにあわせ、このタイミング(Phase 1)とそのさらに1年後の調査(Phase 2)にてAUDITを調査票に組み込みました。本発表はAUDITを組み込んだ回の調査データ(N = 9614)を活用したものになります。

本研究の結果、「危険な飲酒(AUDIT8~14点)」および「アルコール依存症疑い(AUDIT15点以上)」に分類された割合はPhase1でそれぞれ10.9%と7.1%、Phase2でそれぞれ11.8%と7.3%で、COVID-19感染拡大前の先行研究と比較すると、特に女性で飲酒関連問題がやや増えている傾向にありました。分散分析の結果においては、Phase1で飲酒問題がない人のうち、Phase2でアルコール依存症疑いとなった群は、各時期で心理的苦痛や「仕事や学業の困難」が強く、2つの時期の間で有意に増大しているなど経時的に見ても飲酒関連問題とこれらの変数の対応関係が示されました。1年後(Phase2)の飲酒関連問題の予測因子(Phase1)を検討する多項ロジスティック回帰分析の結果、日本における長期化したCOVID-19パンデミック下において、心理的苦痛や不安などの精神的問題、仕事・学業や経済的困難の増大などが、1年後の飲酒問題と関連していました。これらの分析で有意であった連続変数についてノンパラメトリックベイズ共クラスタリングを用いて相互作用動態を網羅的に検討したところ、対象者は15のクラスターに分かれ、うち飲酒問題を持つ人が比較的多い6クラスターが含まれていました。これらの中には2つのPhaseを通して生活上の困難や精神的健康の悪化と健康行動や交流などの低下が見られるクラスターがあり、また特に生活上の困難と精神的健康の悪化が顕著なクラスターは健康行動や交流などに低下が見られないがアルコール依存症疑いが最も多く見られました。一方、これらの分析の中で今回のデータのみでは解釈の難しい結果もあり、今後詳細に他の媒介変数を特定して調査すべき課題も残りました。特に、精神的健康に対して一般的にはポジティブな影響が想定される社会的なつながりが飲酒関連問題に関連する結果が見られましたが、社会的ネットワークの質が低ければ、単にその大きさだけではストレスを防ぐことは不可能であることが反映された可能性があります。ネットワークの多様性も飲酒関連問題に寄与するため、社会的孤立との関係は単純な線形の関連ではない複雑なものである可能性があります。また、今回検出された飲酒関連問題が比較的多いグループでは心理社会的な問題が顕著なグループとそれらが目立たないグループの両方が存在し、後者のような特徴の人々においても飲酒関連問題に注視する必要があることが示されました。

今後、これらの課題を考慮しながら、さらなる追跡調査の結果をまとめ、将来のパンデミック時の対策に資する成果を発信できればと考えております。

7.施設紹介 医療法人社団アパリ アパリクリニック

梅野 充
( 医療法人社団アパリ アパリクリニック )

アパリクリニックは東京都内で、理事長・院長である肥田明日香医師のもと、筑波大学森田展彰先生をはじめとする非常勤医師5名で診療を行っております。薬物アルコール依存症やギャンブル症の治療と回復支援を中心に気分障害、統合失調症、発達障がいなどの精神科一般の患者さんの診療を行っております。精神科・心療内科外来として月曜から土曜まで診療を行い、精神科大規模デイケアを設置して運営しております。

アパリクリニックは薬物依存症回復支援施設ダルクの創始者である近藤恒夫氏の発案にて、2004年5月に台東区上野で開業し、2013年12月に現在の新宿区に移転しました。近藤恒夫氏は1985年に東京日暮里に「東京ダルク」を創設し、薬物依存症回復者自身が中心となって自助的な治療原則に基づいて運営する薬物依存症回復支援施設の嚆矢となりました。現在は、全国各地と一部海外にも拠点をもって多くのダルクが活動されております。

近藤恒夫氏が2004年にアパリクリニックを創設した当初には、二つの目的があったように思います。つまり「法的、保健福祉的、医療的ケアがワンストップで可能になる施設」と、「あくまで当事者の思いを大切にし、自助的な治療原則をわきまえ、重視する施設」のふたつです。

アパリクリニックがありますビルには現在「NPOアパリ」とNPOアパリの運営するB型就労継続支援施設「WILL」が一緒に入っております。NPOアパリでは薬物依存症に関連する法的、福祉的な相談を受け、薬物事犯として逮捕され保釈を受けた人々が法的処遇とともに、回復をめざすことができる相談支援の活動「司法サポート」を継続されております。またNPOアパリでは依存症に関わる家族相談や家族への支援プログラムを継続しています。NPOアパリには薬物事件について造詣の深い弁護士も役員として関わり、裁判での弁護はもちろん、相談や家族支援にもかかわっています。このように法的、保健福祉的支援が間近に行われており、司法サポート、相談や就労支援などの保健福祉的サポートと医療的サポートとが一つの建物の中で提供されていることがアパリクリニックのひとつの強みと言えます。

また、創設者近藤恒夫氏自身がそうであったように、アパリクリニックではリカバリングスタッフ(回復者であり支援者でもある存在)が大きな役割を果たしています。事務や相談員などとして複数のリカバリングスタッフが活躍されております。当院デイケアに通院しているメンバーさんのなかには台東区でナイトケアを行っている「日本ダルク」に入寮中の人が多く、当院デイケアは日本ダルクのデイケアと一体的に運営されております。

プログラムの内容にも自助的原則を用いてリカバリングスタッフが主体的に運営しているものがあり、たとえば「リカバリー・ダイナミクス・プログラム」は自助グループで用いられている「12ステッププログラム」についての心理教育的プログラムですが、リカバリングスタッフがインストラクターとして運営しております。

日本ダルクは男性の薬物アルコール依存症のかたがたのための施設で、当院デイケアでも男性のデイケアが中心ですが、そのほかに、女性とLGBTQのかたがたで、依存症や関連する問題についての回復をめざす人たちのためのデイケアグループを運営しております。

近年は保釈を受けられた大麻乱用などの薬物関連問題をもつかたと、ギャンブル症などの行動嗜癖を主訴として初診されるかたが増えております。また薬物依存症をはじめとする物質関連障害と合併する場合がおおい、発達障がいなどの患者さんも来院されます。

今後とも創設者の理念を尊重し当クリニックのもつ独自性や特色を生かしつつ、日本アルコール・アディクション医学会会員の諸先生方と連携を深め臨床を充実させていく所存です。

8.研究室紹介

鈴木 勉(写真左) 舩田正彦(写真右)
( 湘南医療大学薬学部薬理学研究室 )

当研究室は、令和3年(2021年)4月に湘南医療大学薬学部の設置と共に開設されました。湘南医療大学薬学部は、臨床に強い薬剤師の育成を目指しており、その実現に向けてグループ病院施設が薬学臨床の学びを徹底的にサポートしてくれることを強みとしています。当研究室においても臨床との繋がりを重視した基礎研究を推進しています。現在は、我々教授2名と池上大悟講師の教員3名、学部4年生の学生2名の体制で教育と研究に励んでおります。

当研究室では、医療用麻薬や覚醒剤使用による薬物依存症と種々のストレス暴露によって誘発される精神疾患の発症に係る脳内機序解明を目的として研究を実施しています。薬物の依存形成に関する研究では、条件付け嗜好性試験(conditioned place preference法)による前臨床モデル動物を利用して、薬物の依存性評価並びに脳内メカニズムに関する検討を進めています。また、医療用麻薬の適正使用にむけて適切なオピオイド使用に関する研究を展開しています。同様に、痛みに関しては、片頭痛や薬物乱用性頭痛などの動物モデル作製に関する研究を進め、性差の脳内メカニズムの解明を目指しています。研究では、行動薬理学と分子生物学的技術を用いて、脳内神経ネットワークの変化を指標に、機能タンパク質ならびに遺伝子変化などの多角的な視点から作用発現メカニズムを解析しています。

また、細胞実験とコンピュータシミュレーションによる統合的解析により、危険ドラッグなどの新規精神活性物質の有害作用の評価研究を展開し、その一部は薬物規制行政に反映されております。さらに、同手法を利用して、有害作用のない新規医薬品開発推進に関する研究も同時に進めています。こうして得られた基礎データは、薬物乱用防止へ寄与できる資料として提供していく予定です。

当研究室では薬学部として薬学教育にも、研究室の姿勢として、学生の主体性を伸ばすために、自分で問題を発見し、情報収集して論理的思考と問題解決能力を育むことを目標として活動しています。また、発表だけでなく、医師や看護師などのチーム医療や患者さんへの情報提供にも繋がる能力としてプレゼンテーション能力を育てることを目指します。

こうした活動を通じて、アルコール及び薬物・行動の依存・アディクションに関する研究の発展並びに知識の普及、情報の提供に貢献できるよう努めてまいります。今後とも、本学会の先生方からのご指導、ご鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

9.事務局からのご連絡

【年会費の改定について】

当学会では、2024年度分(2024年8月1日〜)より年会費を改定させていただくことになりました。ご了承いただけますようお願いいたします。

改訂前 改訂後
正 会 員 7,000 円 8,000 円
学術評議員 12,000 円 14,000 円
学生会員 3,500 円 4,000 円

【年会費支払い方法について】

2024年度年会費より、コンビニエンスストアからもお支払いいただけるようになります。また,従来通り学会の口座へ直接お振り込みいただくことも可能です.詳細は後日お知らせいたします.

なお,継続して3年以上会費を滞納した時には会員の資格が喪失されますので、ご注意ください。

【ご入退会・変更等手続きについて】

周囲に当学会へご興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、是非、本学会へのご入会をお勧めください。

1) 入会について

HP 上 ( ご入会申し込みフォーム ) のフォームから、お申込みください。入会には理事会審査( 1 か月に 1 度)が必要になるため、正式なご入会までには最大 2 か月程度お時間をいただくことがございます。

2) 変更について

ご所属、ご職名などに変更がありましたら、HP 上 ( https://www.jmsaas.or.jp/step/variouschange/ ) のフォームに必要事項をご記入の上、ご連絡ください。

3) 退会について

HP ( https://www.jmsaas.or.jp/step/variouschange/ ) のフォームまたは e – mail、FAX、郵送等文書に残る手段で、①フルネーム、②連絡先、③退会年度をご連絡ください。

【連絡先】

日本アルコール・アディクション医学会 事務局
TEL / FAX : 075-251-5345
mail : 

【啓発用リーフレットについて】

当学会では「あなたの飲酒が心配です」とした、啓発用のリーフレットを 1 部 30 円で下記印刷所に販売委託をしております。ご希望の方は下記までご連絡ください。

  • 会社名 :畠山印刷株式会社
  • 所在地 :三重県四日市市西浦 2 丁目 13-20
  • 電 話 :059-351-2711(代)
  • FAX :059-351-5340
  • Email :hpc-ltd@cty-net.ne.jp

※学会ホームページにも同様のお知らせを掲載しております。

10.編集後記

舩田 正彦
( 湘南医療大学薬学部薬理学研究室 )

ニューズレター8-2号をお届けいたします。会員の皆さまにおかれましてはお変わりなくお過ごしでしょうか。ご寄稿いただきました先生方には心より御礼申し上げます。

今回も話題満載です。巻頭言では、三原聡子先生(久里浜医療センター)より「ゲーム依存」について詳細な解説を頂きました。理事長の堀江先生より2024 年度アルコール・薬物依存関連学会合同学術総会(日本アルコール・アディクション医学会と日本アルコール関連問題学会:東京開催)、日本アルコール・アディクション医学会として第59回の学術総会、上村先生より来年の第60回日本アルコール・アディクション医学会学術総会(東京開催)のご案内を頂きました。また、第13回柳田知司賞を受賞された神田秀幸先生(岡山大学学術研究院医歯薬学域公衆衛生学)、優秀論文賞を受賞された野田哲朗先生(東布施野田クリニック)、2023年度日本アルコール・アディクション医学会学術総会で優秀演題賞を受賞された沖田恭治先生(国立精神・神経医療研究 センター病院精神診療部)、斉藤 剛先生(筑波大学大学院 人間総合科学研究科 )、菅谷 渚先生(労働安全衛生総合研究所)より、受賞の思いと研究内容について、ご寄稿いただいております。施設紹介として、医療法人社団アパリ アパリクリニックの梅野 充先生より、クリニックでの薬物関連問題、ギャンブル症などの患者さんへ薬物アルコール依存症やギャンブル症の治療と回復支援などの施設の特徴をご紹介頂きました。研究室紹介では、私が所属しております湘南医療大学薬学部について、大学の特徴と研究活動をご報告させていただきました。

物質使用や行動嗜癖に係る社会問題は引き続き、事例化し報道されております。JMSAAS が社会に果たす役割も益々大きくなっております。ニューズレターが会員の皆様に存分に活用され、活動の一助になれば幸いです。広報委員会ではこれからも会員の皆様に関心を持っていただけるような情報を掲載できるよう取り組んでまいります。より有用な ニューズレター発行に向けて、引き続き会員の皆様より、ご助言、ご寄稿いただけますようよろしくお願い申し上げます。